下肢静脈瘤の後遺症・合併症

下肢静脈瘤を手術することになったとき、手術後に、後遺症や合併症などのリスクはあるのでしょうか?

手術をする前に知っておきたい術後の後遺症や合併症のリスクについて調べてみました。

目 次

下肢静脈瘤の治療別に見る後遺症・合併症

ストリッピング手術

ストリッピング手術後に考えられる後遺症としては、しびれなどの「神経障害」が挙げられます。

これは、血管を引き抜く際に神経に触れてしまうことで起こる後遺症ですが、数日でしびれは治まり、その後は問題なく日常生活を送ることが可能です。

また、後遺症が出る可能性は決して高くなく、後遺症が出た患者がいない病院もあるようですので、信頼できる病院で手術を受けるのであれば大きな心配は不要だと思われます。

そのほかの後遺症としては、他の手術と同様に、手術によってできた傷から感染症を発症する可能性もありますが、きちんと処置をすればリスクを抑えられるでしょう。

ストリッピング手術における大きな合併症は聞かれませんが、内出血が起こるため弾性ストッキングを使用して内出血を抑えます。

ストリッピング手術は、静脈内で弁不全を起こした部分をストリッパーという器具を使って引き抜く手術。

下肢静脈瘤の手術においてもっとも古くから行われている治療であり、また根本的な治療が可能であることから、広く行われています。

レーザー治療・高周波治療

レーザーやラジオ波を使った治療法は、熱によって血液の逆流が起きている血管を焼く方法なので、手術によって皮膚熱傷や深部静脈血栓症が発生する危険性があります。

血栓ができると、発症率は0.05%と非常に可能性は低いのですが、血栓が肺動脈に詰まって肺塞栓症を起こすこともあります。

下肢静脈瘤の治療による血管内レーザー焼灼術後に、深部静脈血栓症となり肺塞栓症を併発した事例も。術後の過ごし方や弾性ストッキングの着用などは医師の指示に従うことが重要です。

レーザーによる治療で血栓が生じる確率は20%程度と言われていますが、術後の処理をきちんと行えば、肺塞栓症になることはほとんどありません。

ただ、レーザー治療のみだと下肢静脈瘤が再発するおそれもあるので、瘤切除や高位結紮術、硬化療法などと併用することで効果を高める必要があります。

再発すると、再度手術を行うことになるので、体にかかる負担や費用、合併症や後遺症のリスクが高まります。

『下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療』

血管内治療で生じうる合併症としては、『下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療』というレポートでは以下のように報告されています。

大腿部の疼痛、皮下出血、血腫、神経 障害、血栓性静脈炎、皮膚熱傷、動静脈瘻、深部静 脈血栓症(deep vein thrombosis : DVT)、肺塞栓症 (pulmonary embolism : PE)、EHIT(endovenous heat- induced thrombus)などの合併症がある。 International Endovascular Working Group registry11) では 10 カ国 3696 例の EVLA 症例を検討し、皮下出 血が 75 %(2781 例)、神経障害が 3 %(114 例)、血 栓性静脈炎が 1.87 %(69 例)、皮膚熱傷が 1.87 % (69 例)、DVT/EHIT が 0.27 %(10 例)および PE が 0.023 %(1 例)に認められたと報告されている。

レーザー焼灼手術

レーザー焼灼手術の後遺症としては、まず術後の痛みが挙げられます。

ただし、手術には局部麻酔を使用し、手術後も鎮痛剤を用いますので、麻酔や薬の効果が切れてまで痛みが長引くことは少ないです。

ストリッピング手術と比較すると、手術後の傷跡や内出血が強く起こるといわれていますが、最新のレーザー治療器を使用することで、出血や痛みを軽減できます。

次に、ストリッピング手術同様レーザーが神経に触れてしまった場合に起こる神経障害も、後遺症のひとつとして挙げられますが、こちらも確率の高い後遺症ではありません。

合併症「深部静脈血栓症」とは

レーザー焼灼手術の合併症として挙げられるのが、深部静脈血栓症です。

これはレーザー焼灼手術によって血液が凝固することにより、静脈に血栓ができてしまう症状で、血栓が血管を通して肺の動脈を詰まらせる「肺塞栓症」を引き起こすこともあります。

とはいえ、こうしたレーザー焼灼手術の後遺症によって死亡した例はなく、深部静脈血栓症を引き起こすケースもごく稀だといわれているため、過度な心配は無用です。

深部静脈血栓症を発症した場合は、血栓を除去する手術を行いますが、深部静脈血栓症を発症した場合でも、経過観察の段階で血栓が縮小し、消滅するケースも少なくありません。

手術後の経過観察をしっかり行なうことが重要だといえるでしょう。

硬化療法

硬化療法は、患部に注射をする治療になるため手術というほどのものではありません。

しかし下肢静脈瘤ができている血管を固めてしまい、固めた血管は半年ほどで消滅することから、効果的な治療方法です。

硬化療法の後遺症としては、治療を行った部分にしこりや色素沈着を起こしやすいことが挙げられます。

これらの症状は、血管が消滅するまで残るため、見た目を気にする人は後遺症について十分納得した上で治療を受ける必要があります。

また、後遺症とは少し違いますが、ある程度進行している下肢静脈瘤の場合、硬化療法で治療をしても再発してしまうことが多いといわれてます。

手軽に行えるため治療を受ける人が多いですが、下肢静脈瘤の症状に合わせて治療法を選択することが大切です。

硬化療法の合併症としては、レーザー焼灼手術同様に深部静脈血栓症が挙げられます。発症を抑えるためには、手術前に治療中の病気についてきちんと医師に報告しておくことが重要です。

高位結紮術

局所麻酔で鼠蹊部を切開して行われる結紮術は、下肢静脈瘤の外科的治療方法の一つです。切開部分が小さいことから日帰りでできる手術ですが、再発率が高いといわれています。

また、硬化療法と併用してこの治療を行った場合には、下肢がむくむといった術後の症状があるとの報告も。

他にも血管内治療(レーザー、高周波)や、外科治療(ストリッピグ手術、結紮術)による術後のリスクとしては薬剤によるアレルギーや痺れ(神経障害)などが挙げられます。

傷が化膿する場合もありますので、必ず医師の指示を仰いで術後の診察を受けましょう。

手術後の合併症や後遺症のリスクを下げるために

下肢静脈瘤の治療法は、どんなものでも多少の合併症や後遺症が発生するリスクのあるものです。ただ、その頻度は少なく、軽いものなら時間が経てば自然と治まっていきます。

危険な後遺症に発展するのは、手術後に自己判断で弾性ストッキングの着用を止めてしまった場合などイレギュラーな場合に限られてです。

合併症や後遺症のリスクを減らすためには、きちんと術後の診察を受け、医師の指示に従うことが第一です。

下肢静脈瘤の治療を開始する前に、それぞれの治療法のリスクを知り、手術後の生活に支障がないかどうかもあわせて検討しておきましょう。

下肢静脈瘤手術後の注意点

手術の内容や病院の方針、仕事内容や運動の種類などによっても可能な範囲は異なりますので、手術を受ける際には必ず医師に相談するようにしてください。

仕事は今まで通り可能?

下肢静脈瘤手術後は、日常的に行える家事(料理・洗濯・買い物等)や座って行えるデスクワーク、事務作業などは手術の翌日から可能です。

立ち仕事の場合は、手術後3日目くらいから可能になりますが、あまり長時間立ちっぱなしにならないよう、休憩を入れたり勤務時間を短くしたほうがいいでしょう。

手術後1週間ほどすれば今まで通りの立ち仕事も可能になりますが、それまではあまり無理をしないようにしてください。

立ちっぱなしにならないよう、時々歩いて足を動かすようにしたほうがしましょう。

また、座り仕事でも座りっぱなしはよくないので、時々足を上げたりマッサージをしたりして、血流を促すようにするのも効果的です。

運動をしても平気?

下肢静脈瘤の手術後は、軽い体操や散歩、ウォーキングなどの日常的に行う運動なら手術の翌日から行っても問題ありません。

日帰りの手術の場合は、手術後そのまま歩いて帰ることもできますし、車の運転も可能です。

術後1週間ほどすれば自転車などに乗ったり、プールで泳いだりすることも可能になります。

ただ、テニスや卓球、バドミントンなどの競技スポーツや、ランニング、登山、ダンスなどの激しい運動は術後2週間ほどたってから可能になります。

また、ストリッピング治療や足の静脈瘤を切除する手術の場合は、なるべく1ヶ月くらいは激しい運動は控えた方がいいでしょう。

スポーツなどをする人は、具体的にいつ頃から可能か必ず医師に確認するようにしましょう。

食事や飲酒で気を付けることは?

下肢静脈瘤手術後は、特に食事で禁止されていることはありません。

ただ、手術後すぐにお酒を飲むと痛みが強くなったり、脱水症状を起こして深部静脈血栓症を起こしやすくなるため、最低でも手術後3日間くらいは飲酒を控えるようにしましょう。

手術後に痛みがある場合は、飲むタイプの鎮痛剤を服用できますが、鎮痛剤の効果を維持するためと内臓に負担をかけないためにも、鎮痛剤とお酒は同時に飲まないのが原則です。

手術後1週間くらいたてば飲酒も問題ないようです。

日常生活に支障はないの?

下肢静脈瘤手術は日帰り手術もあり、手術後はそのまま自分で歩いて帰れるので、手術のために何日間も要することはありません。

ただ、入院が必要なストリッピング手術の場合は、日常生活に戻るまで2週間から1ヶ月程度かかる場合もあります。

日帰り手術の場合は、手術の翌日からシャワーを浴びることが可能で、3日から1週間ほどすれば入浴できるようになります。

日常的に行う家事や座って行う作業なら翌日から開始できるので、日常生活にそれほど支障はないでしょう。

手術後すぐは激しい運動はできませんが、あまり動かないでいると深部静脈血栓症を起こしやすくなるので、適度に動いたほうがいいでしょう。

手術後も経過を見るために何度か通院する必要はありますが、医師の指示をきちんと聞いて適切な処置をすることで術後のリスクを下げることにつながります。

合併症かも?後遺症かも?と思ったら

下肢静脈瘤手術をした場合、術後に合併症や後遺症が出る可能性は高くありませんが、ゼロとも言えません。

もし手術後に異常を感じた場合には、すぐに医師に相談するようにしましょう。

手術後すぐは、多少の痛みや出血、腫れなどがありますが、もらった鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない、出血や腫れがひどいという場合には、術後の診察を待たずに病院で診察を受けるようにしてください。

また、手術後はどの場合でも経過を見る診察がありますので、必ず受診しましょう。

病院によって1週間後、1か月後、3か月後など頻度は異なりますが、気になることはその時に相談するのもいいでしょう。

記事作成の参考にしたサイト

血管内レーザー焼灼術導入後の下肢静脈瘤手術治療−下肢静脈瘤手術治療のリスクは本当に低いのか?−[PDF]

Topic
下肢静脈瘤の専門医が在籍する
大阪のクリニックを治療数で比較

大阪で日本脈管学会の脈管専門医かつ、血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会の血管内レーザー焼灼術実施医・指導医が在籍するクリニックのうち、対応できる治療の種類が豊富な3院を厳選しました。

梅田血管外科
クリニック
梅田血管外科クリニック
引用元HP:梅田血管外科クリニック
https://www.umeda-vvc.com/
対応できる
治療法
6/7種類
グルー治療
レーザー
治療
高周波治療
ストリッピング
手術
硬化療法
圧迫療法

tel 06-6232-8601

坂田血管外科
クリニック
坂田血管外科クリニック
引用元HP:坂田血管外科クリニック
https://sakataclinic.com/
対応できる
治療法
5/7種類
レーザー
治療
高周波治療
ストリッピング
手術
硬化療法
圧迫療法

tel 06-6121-2368

ラジオロジー
クリニック扇町
ラジオロジークリニック扇町
引用元HP:ラジオロジークリニック扇町
http://radio-gazo.jp/
対応できる
治療法
5/7種類
レーザー
治療
ストリッピング
手術
硬化療法
圧迫療法
高位結紮術

tel 06-6311-7500

下肢静脈瘤治療の期間:治療法によって異なるため、クリニックにお問い合わせください。
下肢静脈瘤治療の費用:治療方法や自由診療および保険診療などで変わってくるため、クリニックに直接ご相談ください。
下肢静脈瘤治療のリスク:しびれなどの「神経障害」や、皮膚熱傷や深部静脈血栓症が発生する可能性もあります。それ以外にも、治療方法により異なったリスクや副作用が生じるおそれがありますので、クリニックの担当医師にしっかり確認をしたうえで、治療を受けることを推奨します。
また、当サイトでは、「下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会(旧:下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会)」の実施医または指導医と認定されている医師のことを下肢静脈瘤の専門医と定義しています。