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グルー治療
血管内に医療用の瞬間接着剤を注入する下肢静脈瘤のグルー治療の特徴や、メリット・デメリットについてまとめました。
下肢静脈瘤のグルー治療とは
グルー治療とは、血管の中にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、そこからグルーと呼ばれる医療用接着剤を注入。逆流している静脈を固めて閉鎖させる方法です。
医療用接着剤は体に害の少ない素材で作られたもので、逆流している病的な静脈を瞬間的にふさぐことができます。
カテーテルを入れて血管をふさぐという点ではレーザーや高周波による血管内焼灼術に似ていますが、熱で血管を焼くことがないので体への負担が少なめです。
治療の効果については、血管内焼灼術と同等程度の成績であると報告されています。ただし、長期的に見たときの再発率などの成績は現時点では不明であり、今後の更なる研究や調査が期待されています。
下肢静脈瘤のグルー治療のメリット
グルー治療では、レーザー手術と違って血管内に熱を加えることがありません。
つまり、血管内にヤケドを作ることがないため血栓ができるリスクが低く、さらに術後の炎症を抑えることもできます。
麻酔については針を刺す部分だけでよいため、基本的に少量の局所麻酔のみでOK。静脈麻酔や全身麻酔の必要がないため、術後の回復もスムーズです。
また、下肢静脈瘤の手術後は弾性ストッキングを着用する必要がありますが、グルー治療においてはその必要はありません。
これは、手術後の合併症として見られる深部静脈血栓症や神経障害のリスクが少ないためです。
また、これまでグルー治療は保険適用外の自費診療でしたが、2019年12月からVenaSealクロージャーシステムを用いたグルー治療が保険適用となりました。
これは、アメリカFDAから認可を受けているグルー治療となっています。
下肢静脈瘤のグルー治療のデメリット
メリットの大きい下肢静脈瘤のグルー治療ですが、もちろんデメリットもあります。
まず、グルーと呼ばれる医療用接着剤に対してアレルギー反応を起こす方がいます。欧米では数パーセントの確率と言われていますが、注意は必要です。医療用接着剤は血管内に残り続けるため遅れてアレルギー症状が出ることもあり、重症な場合には血管を取り除く手術が必要になるケースもあります。
また、静脈瘤が大きく蛇行が激しいタイプでは、グルー治療に向かないことがあります。もしグルー治療を受けられたとしても、十分な効果がない場合には後日硬化療法など別の治療を受ける必要が出てきます。
記事監修医師紹介
成田亜希子 医師
- 専門とする科目:日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本結核病学会、日本健康教育学会所属
- 経歴:弘前大学医学部卒
- プロフィール:東京都出身。国立医療科学院や結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません。
グルー治療に対応する大阪のクリニック
梅田血管外科クリニック
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