下肢静脈瘤を放置するとどうなるか
早期治療が重要な病気である下肢静脈瘤。何もせず放置しておくとどうなるのかについて解説します。
下肢静脈瘤は静脈にある血流の逆流を防ぐ弁が壊れることで起こる病気なので、放置して自然に改善したり治ったりすることはなく、だんだん悪化していきます。
ただ、治療で治る病気なので、むくみ、痛み、だるい、血管が浮き出るなどの症状があったら、まず専門医による診察を受けましょう。
また、下肢静脈瘤と同じような症状が出る変形性膝関節症や脊柱管狭窄症の場合もありますので、早めの診察ををおすすめします。
下肢静脈瘤の進行の速さ
比較的ゆっくりと進行する病気ですが、1日中立ちっぱなしの仕事である理容師、美容師、看護師、調理師、教師の場合は進行が速い傾向にあります。
血管は加齢によって弱くなるので、加齢とともに静脈瘤の進行ペースも上がっていきます。
最悪の場合どうなるか
下肢静脈瘤は命にかかわるような病気ではないので、軽く考えて放置する人が多いようですが、進行していくと潰瘍となり治りにくくなったり、ひどい皮膚疾患を起こすことがあります。
血管の病気なので、重症になると足が壊死して切断することになるのでは?と心配する人もいるようですが、そういうことはほとんどありません。
また、血栓が肺動脈を塞いでしまい死亡することもある肺塞栓症に、下肢静脈瘤が影響を与えていることもありますが、めったにおきることはありません。
ただし、下肢静脈瘤になると肺に血が滞って深部静脈に血栓ができやすくなり、血栓が肺動脈を詰まらせるエコノミー症候群の原因になることも。
これを防ぐためには適度な水分補給をする、座りっぱなしや立ちっぱなしを避けて軽い運動を取り入れるなど注意するようことが重要です。
下肢静脈瘤と血栓性静脈炎の関係
血栓性静脈炎とは
下肢静脈瘤の方の場合、静脈瘤の中にある血液が固まり血栓となり、この血栓が炎症を起こしてしまうことがあります。これが血栓性静脈炎です。
そもそも血栓性静脈炎とは、正常な静脈に血栓が生じて静脈瘤が硬く赤く腫れあがる症状です。
生命に問題がある血栓ではありませんが、炎症を引き起こしているため、痛みや腫れが見られ、触るだけでもひどく痛みます。
血栓性静脈炎が起こるのは、体の表面に近い場所にある静脈です。
血栓性静脈炎の治療
通常は、鎮痛剤を投与したり患部を温めたりすれば、数週間で症状が改善されます。
また、なにもしなくても炎症は和らぐことがありますが、静脈瘤が原因となっているため、再発するリスクは高いといわれています。
もしも下肢静脈瘤から血栓性静脈炎になった場合には、レーザー治療などの下肢静脈瘤を根本から治療することが必要となるでしょう。
また、血栓性静脈炎自体は、命に危険がないものの、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症が併発されることもあるので、自己判断は禁物です。
深部静脈血栓症とは、血栓性静脈炎が体の表面に近い場所にできる炎症であるのに対し、もっと深い部分の静脈に血栓ができてしまう病気です。
深部静脈血栓症は命に関わる病気です。こうした病気のリスクがあるからこそ、血栓性静脈炎になった場合には早めに医師に診てもらいましょう。
血栓性静脈炎を予防するには
血栓性静脈炎を予防するためには、長時間足を動かさずにいるようなことがないように、適度に歩行や足の運動をするといいでしょう。
なかなか運動が難しいという方でも、足を曲げ伸ばしするだけでも違います。
また、下肢静脈瘤を放置していれば、もちろん血栓性静脈炎になるリスクが高まります。
日常生活の改善や弾性ストッキングの着用など下肢静脈瘤の程度や症状に合わせた治療を行いましょう。
また、血栓性静脈炎に何度もなるようなら、医師と相談して手術などの治療法も選択肢として考えましょう。
下肢静脈瘤と皮膚炎の関係
下肢静脈瘤が重症化すると皮膚炎になる
下肢静脈瘤が重症化すると、うっ滞性皮膚炎と呼ばれる皮膚炎を合併することがあります。うっ滞性皮膚炎とは、湿疹や脂肪皮膚硬化症と呼ばれるものです。
下肢静脈瘤によって血液が静脈の中をきちんと流れなくなると、血管が膨らみ、小さな穴ができます。この小さな穴から血液が漏れて、色素が沈着した状態が脂肪皮膚硬化症です。
また、血の流れが悪くなることで、皮膚バリア機能が低下してしまい、湿疹などができやすくなることもあります。
皮膚炎が悪化すると潰瘍になることも
下肢静脈瘤によって脂肪皮膚硬化症という炎症ができると、何かの拍子に皮膚を引っ掻いてしまった場合、傷が慢性化し、治りにくくなることも。
皮膚にできた潰瘍は、治って、またできてを繰り返すと、皮膚が硬くなり少し触っただけでも痛みを感じるようになります。
そうなると、歩くことも辛くなり、高齢の方の場合寝たきりになってしまうこともありえます。
皮膚炎は、下肢静脈瘤が悪化した状態ですから、そうならないためにも下肢静脈瘤になったら早めに治療をすることが肝心です。
下肢静脈瘤で皮膚炎ができた場合の治療
下肢静脈瘤から皮膚炎ができてしまった場合には、湿疹の場合はステロイドを塗り治療します。
また、症状が進行しないように、弾性ストッキングの着用など下肢静脈瘤の治療も必要となります。
場合によっては外科的な治療も視野に入れる必要があるでしょう。
記事作成の参考にしたサイト
- 『下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン』日本皮膚学会ガイドライン[pdf]
- 『症例報告 血栓性静脈炎を伴う下肢静脈瘤に対して血管内焼灼術を行い深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症を起こした1 例』静脈学 27(3) 2016[pdf]
- 『新しい皮膚科学:第2版』[pdf]
大阪のクリニックを治療数で比較
大阪で日本脈管学会の脈管専門医かつ、血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会の血管内レーザー焼灼術実施医・指導医が在籍するクリニックのうち、対応できる治療の種類が豊富な3院を厳選しました。
クリニック

https://www.umeda-vvc.com/
- 対応できる
治療法 - 6/7種類
治療
手術
tel 06-6232-8601
クリニック

https://sakataclinic.com/
- 対応できる
治療法 - 5/7種類
治療
手術
tel 06-6121-2368
クリニック扇町

http://radio-gazo.jp/
- 対応できる
治療法 - 5/7種類
治療
手術
tel 06-6311-7500
下肢静脈瘤治療の期間:治療法によって異なるため、クリニックにお問い合わせください。
下肢静脈瘤治療の費用:治療方法や自由診療および保険診療などで変わってくるため、クリニックに直接ご相談ください。
下肢静脈瘤治療のリスク:しびれなどの「神経障害」や、皮膚熱傷や深部静脈血栓症が発生する可能性もあります。それ以外にも、治療方法により異なったリスクや副作用が生じるおそれがありますので、クリニックの担当医師にしっかり確認をしたうえで、治療を受けることを推奨します。
また、当サイトでは、「下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会(旧:下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会)」の実施医または指導医と認定されている医師のことを下肢静脈瘤の専門医と定義しています。