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レーザー治療
血管内治療のレーザー手術について調べました。下肢静脈瘤のなかで、どのような症状に適するのか、またその費用目安についても掲載しています。
下肢静脈瘤のレーザー治療とは
血管内レーザー治療には、静脈にレーザーファイバーを挿入する「血管内レーザー焼灼術」と「体外照射レーザー治療」の2種類があります。
血管内レーザー焼灼術
波長810nm、980nm、1320nm、1470nm、2000nmのレーザーが使用されます。おもに血管がヘビのように足の表面に浮き出る、伏在静脈瘤に適用されます。
静脈の逆流を防止する弁が壊れて、血液が逆流し静脈瘤となった血管に、極めて細いレーザーファイバーを挿入。
静脈の内側を熱で焼き、血管をふさぎます。血液が流れなくなった静脈は繊維化して、数カ月後には体組織に吸収されます。
効果はストリッピング手術と同等ですが、傷口がなく出血も少なく、身体の負担が大きくないのが特徴です。
下肢静脈瘤の血管内レーザー治療は、当初術後長期データがないことなどから、できるクリニックが限られていました。
ですが、現在は世界中で数多くのレーザー治療が行われ、安全性に配慮されており、有効性も確認されています。
また、2011年から980nmのレーザー、2014年5月には1470nmのレーザーが保険承認され、治療できるクリニックや病院も増えてきています。
体外照射レーザー治療
下肢静脈瘤の中でも網目状静脈瘤や、クモの巣状静脈瘤は血管が浮き出ませんが、赤や青の細かい血管が広がり視覚的に気持ち悪いなど外見上の問題があります。
また、さらにむくみや痛みなどの症状が出ることもあります。これまでは治療に、硬化療法が適用されてきました。
しかし、最近では体外照射タイプ(ロングパルスYAGレーザー)が使われるようになってきました。
ロングパルスYAGレーザーは、血管壁を変性、収縮させるので、一定間隔で断続的にパルス照射することで血管を縮ませて塞ぐことができます。
体外照射レーザーの治療時間は、だいたい30分~1時間で、治療後すぐに帰ることができます。合併症を最低限にするために、複数回に分けて照射が行われます。
下肢静脈瘤のレーザーの種類
現在、血管内レーザー焼灼術に使用されているレーザーは次のようなものがあります。
- 810nm Diomed D15ダイオードレーザー Diomed社
- 980nm ELVeSダイオードレーザー:CeramOptec社 2011年1月から保険適用
- 1320nm CTEV YAGレーザー Cool Touch社:パルスモード照射なので時間がかかる
- 1470nm ELVeS ダイオードレーザー CeramOptec社:2014年5月からから保険適用
- 2000nm Revolix jrレーザー LISA社
いまのところ、2000nmのレーザーの波長が長く、水分の吸収も良く、組織との反応が優れています。
照射熱量が少ないうえ、手術時間は短くすむだけでなく、合併症も少ないので負担が少ない効果的な治療であるといえます。
レーザー手術に適した下肢静脈瘤の種類と治療費
血管内レーザー焼灼術に適している下肢静脈瘤は「伏在型静脈瘤」、体外照射レーザー治療に適している下肢静脈瘤は「網目状静脈瘤」や「クモの巣状静脈瘤」です。
治療費の目安は50,000円程度で、保険が適用。しかし、クリニックによっては保険適用外のレーザー機器を使用しているところもありますので、詳細は各クリニックにお問い合わせください。
下肢静脈瘤のレーザー治療の流れ
下肢静脈瘤を、レーザーで治療する際の簡単な流れを紹介します。
1.超音波検査
超音波によって、手術箇所を事前によく確認します。
2.手術開始
手術時間の目安は30分ほど。鎮静剤や局所麻酔の処置を行ってから、手術を開始します。
3.休憩
手術が終わったあとは、回復室やリカバリールームと呼ばれるところで体を休ませます。
手術後の注意事項について医師から説明を受け、弾性ストッキングを着用して帰宅となります。
病院によっては流れが異なる場合がありますが、基本的にこのような流れで治療が進んでいきます。
4.下肢静脈瘤のレーザー治療後
レーザー治療後は、翌日もう一度病院へ行き、傷口の超音波検査をします。静脈が塞がっていれば問題ありません。
レーザー治療から2~3日
湯船につかることはできませんが、シャワーを浴びることが可能になります。
階段を上るときなどに、太ももに違和感がある場合があります。
レーザー治療から1週間
1週間も経てば、自転車の運転や運動を再開することが可能になります。
太ももを押すと痛みがある、ふくらはぎにしこりがあるなどの症状が出ることもあるでしょう。しこりは、残った静脈瘤が固まったものです。
レーザー治療から1ヶ月
治療後、2回目の診察をします。足がつる、重さ・だるさといった症状がかなり緩和されてきます。
レーザー治療から半年
治療後、3回目の診察をします。太ももや傷口の痛みがほとんどなくなります。傷跡も小さく柔らかくなって、だんだんと目立たなくなるでしょう。
レーザー治療から1年
超音波検査をして、最後の診察となります。この頃になると、傷口もほとんど目立たなくなっているでしょう。
治療後の経過には個人差があります。順調にいけば、治療から1年で診察が終わり、傷跡も目立たなくなるでしょう。
下腿の静脈瘤でレーザー手術後も残存する静脈瘤を認める場合があります。 その場合は硬化療法というものを追加治療で行う場合があるため担当医師の指示に沿って治療を続けましょう。
記事監修医師紹介
伊藤幹彦 医師

- 専門とする科目:日本外科学会認定外科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医
- 経歴:東京医科大学卒業
東京医科大学 第2外科(心臓血管外科)入局
東京医科大学霞ヶ浦病院 循環器外科助手(現 東京医科大学茨城医療センター)
東京医科大学八王子医療センター 心臓血管外科などを経歴
東京医科大学第2外科助手
新潟こばり病院(現 新潟医療センター 心臓血管外科)
東京警察病院外科 医長を経歴 (血管外科責任者) - 所属:伊藤メディカルクリニック(https://www.ito-medical-clinic.com/)
電話番号:03-3361-6318 - 資格:日本医師会認定産業医
- プロフィール:心臓血管外科を専門とし、高血圧や糖尿病、AGAなど幅広く対応が可能。患者様の健康を生涯にわたってお守りする良きパートナーとして、わかりやすく、丁寧な診察に努めている。
※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません。
レーザー治療に対応する大阪のクリニック
保険適応でレーザー治療ができるかどうかは、各クリニックにお問い合わせください。
梅田血管外科クリニック
- 診療時間: 月水金土9:00~17:00(水曜は12時まで、月・火・金・土曜の9:00~12:00は手術)
- 休診日 :木・日・祝日
- 所在地:大阪市北区曽根崎2-1-12 国道ビル5階
- アクセス:北新地駅 徒歩4分/谷町線 東梅田駅 徒歩5分
- 電話番号:06-6232-8601
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