公開日: |更新日:

下肢静脈瘤の原因

加齢や立ち仕事など下肢静脈瘤が発症する原因を解説。現在の患者数データなども。足の血管が浮き出るといった症状の人は必見ですよ。

目 次

下肢静脈瘤のおもな原因

下肢静脈瘤は、脚の表面にある静脈が太くなってコブのように盛り上がり、血管が浮き出るように見える病気です。

これは、静脈にある血液の逆流を防ぐための弁が正常に働かなくなってしまい、血液の流れが滞ることによって発症します。

この下肢静脈瘤がおきる原因を見てみましょう。

加齢

加齢によって血管が固くなると逆流を防止する静脈の弁が壊れやすくなり、静脈瘤発生頻度が高くなります。

下肢静脈瘤は年齢が高くなるに従って発症頻度は高くなり、50代以降では60%以上の人が下肢静脈瘤を発症しているとのデータもあります。

性別

脚の筋肉は静脈の血流を促すポンプ機能を果たしています。女性は男性よりも筋力が弱いため血液静脈に滞りやすく、プロゲステロンという女性ホルモンが血管を柔らかくするので、静脈瘤が発生しやすくなります。

プロゲステロンは妊娠時に多く分泌される上にお腹が大きくなることで静脈に負荷がかかりやすくなるため、出産経験が多いと更に発症率は高いともいわれています。

一般的に、女性は男性より2~3倍ほど下肢静脈瘤になりやすいため注意が必要です。

遺伝

下肢静脈瘤に明確な遺伝性があるかはっきり分かっていませんが、親兄弟などに静脈瘤患者がいる人は発生頻度が高い傾向にあります。

立ち仕事

仕事が理容師、美容師、調理師、看護師、教師、客室乗務員など、長時間立ちっぱなしですごす立ち仕事の人の発症率が高いといわれています。

エコノミークラス症候群

座りっぱなしも発症原因に。エコノミークラス症候群の後遺症で下肢静脈瘤になることもあります。

身長

身長が高くて脚が長い人は、血管が長いので下肢静脈瘤になりやすいという報告があります。

スポーツ

サッカーやマラソンなど、脚を激しく使うスポーツをしていると下肢静脈瘤になりやすいとされています。

肥満や便秘

脚に過度な負担がかかる肥満、血流悪化の原因となる締め付けが多い衣類や便秘なども静脈の弁を破壊するリスクが高くなるため、下肢静脈瘤の原因となります。

下肢静脈瘤患者の傾向

下肢動脈瘤になりやすい方は先述した通りですが、日本には一体どのくらいの下肢静脈瘤に悩む方がいるのでしょうか?

日本の下肢静脈瘤の患者数

愛媛大学で、2005年に行われた研究によれば、日本の下肢静脈瘤患者数は、約1,000万人以上もいると推計されています。

2005年に愛媛大学で40歳以上の9,123人を調査した結果、全体の8.63%(男性3.81% および女性11.3%)に認められたとの報告があり、全国では1,000万人以上の患者がいると推計されている

40歳以上のおよそ10人に1人に下肢静脈中があるというのは、意外に感じる方もいるでしょう。しかしながら、それだけ誰もが発症しうる病気であるということなのです。 また、妊娠経験がある女性は、2人に1人は下肢静脈瘤を発症するという研究も報告されています。

平井らは本邦において実施した調査研究で、どの年齢層においても女性の方が有病率が高く、とりわけ15~29歳、30~49歳の若年層における有病率の精査が、それ以上の年代(50歳以上)よりも大きいという結果を報告している

諸外国との比較

下肢静脈瘤の患者数に対する調査は、日本以外でもさまざまな国で行われています。

例えば、イギリスでは成人人口の約半数が静脈疾患の兆候が見て取れ、その半数(女性では20~25%、男性では10~15%)に目視できる静脈瘤があったことが、報告されています。

アメリカで行われた2003年の研究によれば、人種別に静脈瘤が認められた人の割合がヒスパニックではない白色人種では25.3%が、ヒスパニックでは27.2%、アフリカ系アメリカ人では20.7%、アジア系では19.2%となっていました。

参考にしたサイト

下肢静脈瘤で足がボコボコになる原因

下肢静脈瘤により、脚の血管がボコボコと隆起したような見た目になることがあります。このボコボコは、血管が膨れ上がったものです。

それでは、どうして足の血管が瘤状になってしまうのでしょうか?そのメカニズムは次の通りです。

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤は、脚のふくらはぎの部分で多く見られます。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれており、足の先まで巡った血液を心臓に送り返すポンプのような役割をしています。

通常であれば、足に流れ込んだ血液は、ふくらはぎの筋肉のポンプ機能によって、心臓へと押し戻されます。

このふくらはぎのポンプ機能がなければ、静脈血は逆流し、下へと流れてしまいます。これを防いでいるのが、下肢静脈にある弁です。

下肢静脈瘤は、この弁が壊れ血液が逆流し、血管内に血液が溜まってしまった結果血管に過剰な負荷がかかって発症します。

血管の壁が引き伸ばされてしまいできる静脈瘤は、特に脚の付け根部分と膝の裏あたりにできやすいと言われています。

女性の方が下肢静脈瘤になる人が多い理由

下肢静脈瘤は女性に多く、その理由の一つが、「プロゲステロン」と呼ばれる女性ホルモンによるもの。プロゲステロンは女性が妊娠する上で欠かせないホルモンです。

プロゲステロンは血管壁を柔らかくする作用があるため、下肢静脈瘤が進行しやすく、女性は下肢静脈瘤を発症しやすいとされています。

大阪で下肢静脈瘤が治療できる
おすすめのクリニック4選を見る

記事監修医師紹介

成田亜希子 医師

成田亜希子医師
  • 専門とする科目:日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本結核病学会、日本健康教育学会所属
  • 経歴:弘前大学医学部卒
  • プロフィール:東京都出身。国立医療科学院や結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません。