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高位結紮術
下肢静脈瘤(伏在型静脈瘤)の治療法として用いられてきた高位結紮術についてご紹介します。
高位結紮術に適したタイプの症状や、治療費用の目安、メリット・デメリットなどをまとめました。
下肢静脈瘤の高位結紮術とは
高位結紮術(こういけっさつじゅつ)とは、逆流を起こしている血管を脚の付け根の部位で縛って、血液が逆流するのを食い止める方法です。局所麻酔で行えて、日帰りもできる手術です。
下肢静脈瘤は、血管の逆流を防ぐ静脈の弁が壊れてしまい、血液が逆流するようになることによって引き起こされます。高位結紮術で静脈をできるだけ高い位置で縛って切離するとその先の静脈には逆流が生じなくなるため徐々に拡張した血管が縮小していきます。
また、高位結紮術のみでは治りにくいため、硬化療法と併用するケースも多いとされています。
下肢静脈瘤の高位結紮術の手術内容
具体的な下肢静脈瘤の手術の方法は、脚の付け根部分に局所麻酔を行い、皮膚を2~3cm切開して、静脈の血管を縛って切り離します。
切開した部分に包帯を巻いておけば、術後すぐにふつうの生活が送れます。
高位結紮術の「結紮」とは縛ることを言いますが、実際は縛るだけではなく脚の付け根の血管から逆流を起こしている静脈を切り離す手術になります。
傷口は小さくて目立たず、局所麻酔で行えて抜糸の必要がない方法もあるので、ほかの手術と比べても負担は少ないですが、再発しやすいとされています。
最近はレーザーや高周波などの治療法が主流になっており、単独での施術は少なくなってきています。
高位結紮術に適した下肢静脈瘤の種類と治療費
高位結紮術は、下肢静脈瘤の中でも「伏在型静脈瘤」の治療に適しており、現在では硬化療法との併用で用いられることが多い方法です。
治療費は、片足で31,300円です。保険適応となりますので、3割負担の方であれば9,000~10,000円程度が相場になります。
高位結紮術のメリット・デメリット
高位結紮術は、最近ではあまり行われませんが、メリットの多い方法でもあるため、ほかの手術と併用されることが多いです。
主なメリットは、以下があります。
- 局所麻酔で手術可能
- 日帰りでの手術が可能
- 傷口が小さく目立たない
- 比較的手術が簡単で、術後すぐにふつうの生活が送れる
- 痛みや出血が少なく、体の負担が少ない
局所麻酔で日帰りの手術も可能ですが、ほかの手術と併用する場合は、入院が必要になる場合もあります。
また、高位結紮術は、新しい治療法が開発されると共に、行われることが減ってきています。
手術が比較的簡単であるというメリット以上に、いくつかのデメリットも認められています。
主なデメリットは以下があり、数としては多くありませんが、再発してしまうことが大きなデメリットになります。
- 数年後に再発することが多い
- 切開部分が小さいので血管が見つけにくい
- 単独での施術では十分な効果が認められないこともある
- ごくまれに皮下出血・血腫、疼痛やツッパリ感を感じることがある
それでも、別の手術と併用することで、サポート的な役割を果たしていますので、今後も高位結紮術を治療法のひとつとして行うこともあるでしょう。
記事監修医師紹介
成田亜希子 医師

- 専門とする科目:日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本結核病学会、日本健康教育学会所属
- 経歴:弘前大学医学部卒
- プロフィール:東京都出身。国立医療科学院や結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい
※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません。