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下肢静脈瘤の予防方法

こちらでは、運動やマッサージ、日ごろの生活習慣など、下肢静脈瘤の予防になるといわれている方法を紹介します。

目 次

下肢静脈瘤を予防する行動

40代以上の女性に多く発症する下肢静脈瘤。放っておくとどんどん進行し、潰瘍や皮膚炎が生じるなど、一度発症すると自然と治ったり改善したりすることはありません。

生命にかかわるということはありませんが、女性にとっては外見上の問題もあるので、できれば発症しないように予防したいもの。

では、下肢静脈瘤を予防するにはどのような方法があるのでしょうか。

適度な運動

ふくらはぎは血液を押し上げて心臓に送るという血流に対して大切な役割を持っているので「第二の心臓」とも呼ばれています。

動脈で末端に運ばれた血液は、ふくらはぎの筋肉の収縮で静脈がポンピングされて再び心臓へと送られるので、ふくらはぎの筋肉を衰えさせないケアはとても重要なのです。

筋力は加齢によって衰えますが、そうするとふくらはぎの収縮が減ってしまいます。 筋肉の衰えを防止するためには適度な運動が重要です。

適度な運動をすることで、ふくらはぎの筋力を維持することができるので下肢静脈瘤予防に有効です。

歩く時は、足先から足を付いて蹴り上げるようにし、ふくらはぎの筋肉を意識して歩くととふくらはぎの運動になります。

立っている時は足先をつけたまま踵を上げると、ふくらはぎに負荷がかかるのでおすすめ。

また、立ち仕事やデスクワークをしている方は、時々軽く運動したり、足をあげたりするようにしましょう。

できれば運動後には、軽くふくらはぎのマッサージをおこなうようにしてください。

マッサージ

下肢静脈瘤は、下肢の静脈に血液がうっ滞することで発症します。発症を予防するためには、血流をよくするためにマッサージをするのがおすすめです。

マッサージの方法としては、血管が浮いているところは避け、力を入れずにやさしく血液を脚の付け根に戻すイメージで下から上へさするようにしましょう。

食事

生活習慣は健康に大きな影響を与えます。まず、下肢静脈瘤の原因として挙げられる肥満ですが、普段から塩分や油の多い食事ばかり食べている方は、食生活を見直してみましょう。

野菜や果物も十分にとってバランスの良い食生活を送ることが大切です。

お酒は適量であれば健康にもつながると言われていますが、これは週に2日間程度の休肝日を取り入れて毎日少量のみたしなんだ場合の話です。

お酒の飲みすぎは体を壊す原因にもなるので、毎日晩酌をしている方は適量かどうか確認してみましょう。

不規則な生活を送ると食事の時間も変動しやすく、長時間空腹状態が続くと体は次に入ってきた食事の栄養素をできるだけ取り入れようと動いてしまいます。

サプリメント

健康な体を目指す際によく取り入れられているのがサプリメントです。まず、かなり初期段階であれば多少効果が期待できる場合もあります。

下肢静脈瘤は血流が滞ることに大きな原因があるため、血流の改善に働きかけてくれる成分などは期待できるでしょう。

例えばピクノジェノール。ピクノジェノールとは海岸松の樹皮からのみ抽出できる水溶性のフラボノイドのことなのですが、静脈を強化する働きを持っており下肢静脈瘤への効果も期待されています。

他には鉄分も不足しないようにサプリメントで補いましょう。鉄分が不足するとコラーゲンの合成がうまくできなくなり、血管が弱くなります。

これにより血管の状態が悪化することがあるのですが、下肢静脈瘤改善のためには健康的な血管を目指すことが大切なので、鉄分の持っている役割は非常に大きいといえるでしょう。

サプリメントはあくまで薬ではないので過剰な期待はできませんが、健康管理に役立つものもあるのでチェックしてみてくださいね。

漢方

漢方は生薬由来の薬剤ですが、古来から中国で使用されており、様々な作用が期待できます。

例えば、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)という漢方には血の廻りをスムーズにする働きがあり、血行が悪くなることに大きな原因がある下肢静脈瘤の改善に役立ってくれるでしょう。

他には、血行だけでなく水分をスムーズに運んでくれる疎経活血湯(そけいかっけつとう)を選択する方もいます。

ただ、漢方薬は西洋薬に比べて働きが穏やかだと言われているものの、自己判断で飲むのはおすすめできません。

必ず医師や薬剤師に相談をした上で取り入れてみましょう。漢方薬の効果が高いと言われているのは、一人ひとりの症状に合った適切な組み合わせで処方ができるからです。

オーダーメイドタイプの治療薬ともいえるので、自己判断で適当に飲んだとしても高い効果は期待できないでしょう。

自分では効果的だと思って取り入れていたものがかえって状態を悪化させてしまう可能性もあるので、注意してみてくださいね。

喫煙

好ましくない生活習慣の一つである喫煙は体の中に有害物質を取り入れてしまう原因にもなり、百害あって一利なしと言われているのでできるだけ禁煙に努めましょう。

年をとると誰でも少しずつ血管が老化してしまいますが、血管の老化は下肢静脈瘤の大きな原因となります。喫煙は血管にダメージを引き起こす原因になります。

できるだけ若いうちから血管に悪い喫煙などの生活習慣は改善するようにしましょう。

下肢静脈瘤を予防するアイテム

弾性ストッキング

下肢静脈瘤の治療や症状の進行を予防する上で、効果が高いとされているアイテムが「弾性ストッキング」です。

弾性ストッキングは、毎日継続して使用することで、静脈瘤の原因となる血流の悪化を予防、改善する効果が期待できます。

圧迫ストッキングにはいろいろなタイプがありますが、弾性ストッキングの特徴は、部分によって圧力の高さが違う点です。

弾性ストッキングは、足首の部分がもっとも圧力が高く、上の部位に向かうとともに圧力が低くなっています。

足首からしっかり圧力をかけることで、足の静脈の血流が下から上に流れやすくなるほか、圧力に変化をつけることで血行を促進する効果も期待できます。

足の血流を促し、血液を足の先から心臓へ戻すために重要なのが、「ふくらはぎの筋力」です。

ふくらはぎをしっかり動かさないでいると、筋肉が収縮したり緩んだり、といった働きが弱まってしまうので、血流が滞り、足のだるさやむくみにつながります。

弾性ストッキングはこのふくらはぎの筋力の働きを促し、ポンプ効果を高める働きがあるため、ふくらはぎの筋力が少ない女性や、筋力が低下する高齢者の方の使用は特におすすめです。

むくみやエコノミー症候群も予防

下肢静脈瘤の症状のひとつとして「むくみ」も挙げられます。足のむくみに悩む女性は多く、むくみは皮下組織に水分が溜まってしまうことで起こります。

むくみも血流と同様に、ふくらはぎの筋力が弱く、ポンプ機能がうまく働いていない場合に起こりやすいといわれています。

筋力がある程度あった場合でも、長時間動かさない状態が続くとポンプ機能が働かないので、むくみが起こります。

また、長時間同じ姿勢でいることで発症するのが「エコノミー症候群」。エコノミー症候群は、長時間同じ姿勢が続いたり、体を動かさない状態が続くと脚の深い位置にある静脈に血栓ができます。

その血栓が大きくなると、肺の血管を詰まらせてしまい、突然死を招く恐れもある怖い症状です。

こうしたエコノミー症候群を予防するためにも、弾性ストッキングは活躍してくれます。

弾性ストッキングがおすすめな人

下肢静脈瘤の症状を、予防したい人におすすめの弾性ストッキングは、立ち仕事をする人にもおすすめです。

立ち仕事をしていると、どうしても血流が悪くなり、足先から心臓に血液が戻りにくくなってしまうので、下肢静脈瘤になりやすいといえます。

まだ下肢静脈瘤ができていないという人でも、弾性ストッキングを活用することで、下肢静脈瘤の発症を予防することができます。

また、弾性ストッキングは足のむくみにも効果があり、立ち仕事は足がむくみやすいので、女性の美容的サポートにも一役買ってくれるでしょう。

そのほか、元々足がむくみやすい人、デスクワークなど同じ姿勢で長時間仕事をしている人にも、弾性ストッキングはおすすめです。

マッサージ器・マッサージクリーム

そのほか、下肢静脈瘤を予防するアイテムとして「マッサージ器」が挙げられます。

脚の血流をよくするために、マッサージはとても有効ですが、手でマッサージをすると脚に余計な負担をかけてしまうことがあります。

そんなときに、マッサージクリームやオイルを使用したり、マッサージ器を活用したりすることで、肌や腕などに負担をかけることなく、手軽にマッサージすることができます。

マッサージクリームやオイルは肌に合って使いやすく、すべりがよいものであればどんなものでも大丈夫です。

マッサージ器もいろいろなものが販売されていますが、コロコロ転がすタイプのものだと腕が疲れることなく効率的にマッサージできます。

記事監修医師紹介

成田亜希子 医師

成田亜希子医師
  • 専門とする科目:日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本結核病学会、日本健康教育学会所属
  • 経歴:弘前大学医学部卒
  • プロフィール:東京都出身。国立医療科学院や結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。
※学術部分のみの監修となり、医師が具体的なクリニックや施術や商品等を推奨しているものではございません。

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